植物幹細胞エキス
「植物幹細胞エキス」は、「植物エキス」との明確な違いは定義されていません。
植物には、過酷な環境で生き抜き子孫を残していくための自己防衛・修復力に優れたものがあり、研究が続けられています。植物由来の抗酸化物質のポリフェノールやビタミン類などは、ヒトの体で発生する活性酸素も抑える働きがあり化粧品にも広く処方されてきました。近年、化粧品原料としてポピュラーな植物幹細胞エキスを紹介します。
リンゴ幹細胞エキス
スイス産のリンゴの一種「ウトビラー・スパトラウバー」の幹細胞を人工的に培養、エキスを抽出した原料です。リンゴは置いておくと茶色くなり味と食感がわるくなり、やがて腐敗しますが、このウトビラー・スパトラウバーは、4ヶ月間常温保存してもみずみずしく味も変化しないのです。これが「奇跡のリンゴ」と言われる所以です。調べたところ、この品種には抗酸化成分が多く含まれることがわかりました。
スイスのバイオテクノロジー企業が植物から幹細胞だけを取り出して、培養槽の中で人工培養して細胞を増やす画期的な技術を開発しました。これにより、希少なウトビラー・スパトラウバーから少量の幹細胞を採取、培養して原料化に成功、大量生産されて安価で化粧品に使えるようになりました。
アルガン幹細胞エキス
アルガンツリーは、サハラ砂漠の北西に位置するモロッコ固有の樹木です。夏には気温が50度を超え、冬には0度まで下がるサハラ砂漠の厳しい環境の中で葉を茂らせ果実を実らせるほど生命力が強く、根を強く張ることによって砂漠の拡大を食い止めていると言われています。厳しい環境で自生しているアルガンツリーは、実に必須脂肪酸やカロテン、ビタミンEなどを豊富に含み、砂漠に生息するヤギやその他の動物たちの貴重な栄養源となっています。
この種を絞って作るアルガンオイルはモロッコでは古くから肌の修復機能があるとされ、火傷やニキビのケアに使われてきました。近年では世界中に流通し、スキンケアやヘアケア、ネイルケア、サプリメントなどにも使われています。
アルガンオイルにはビタミンEのα-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロールの4種類が含まれて総含有量はオリーブオイルの何倍にもなり、若返り効果も期待されています。
アルペンローゼ幹細胞エキス
アルペンローゼはスイスの山岳地帯に自生する花で標高3,200mという過酷な環境で育ちます。厳しい紫外線と寒さ、極度な乾燥に耐える力があり、一年を通じて丈夫な葉を茂らせています。
この葉からは「デヒドリン」という保護タンパクが発見されました。化粧品原料としては、皮膚バリア機能を向上させ環境ストレスから皮膚細胞を保護する働きが期待されています。
カミツレ幹細胞エキス
お茶やアロマオイルなどでなじみのあるカモミールから採取される幹細胞エキスです。カモミールは古くから癒し効果があるハーブとして利用されてきました。
カモミールの肌への効果は保湿や透明感を与えるなどがあります。カミツレ幹細胞エキスは、肌の表皮細胞を生み出す母細胞にアプローチし、表皮細胞の数を増加させる働きがあると言われています。表皮細胞が増えることでターンオーバーが促され、若々しい肌の維持効果が期待されています。
クリスマムマリチマムカルス培養液
クリスマムマリチマムは、フランスブルターニュ地方のミネラルなど栄養分が豊かな海岸沿いに自生する30cmぐらいのセリ科の植物です。
この地域は、潮風による乾燥、紫外線などのストレスを受けやすい環境にあります。この花と葉から得られるエキスはビタミン・ミネラルが豊富でコエンザイムQ10も含まれており、昔から医薬品や滋養強壮のために利用されていました。 肌のバリア機能を保つセラミドを作りだす力があります。
エリンギウムマリチムムカルス培養液
紫外線の強い海岸に育成するせり科の海洋植物であるエリンギウムマリチマムの幹細胞を培養したものです。肌につけた時に細胞膜が壊れ有効成分が肌に浸透する次世代の植物エキスと言われています。
エラスチンの保持と産生を促し、シワ、ハリの改善・坑酸化、保湿に効果が期待できます。